3.のどかな時間

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3.のどかな時間

 全然ご飯を食べていないノエが気になった俺は「散歩してくるね」と言って食堂を出て行ったノエを追って、俺も食事をそこそこで切り上げる。席を立つときにトガセが何か言おうとしていたが、ノナがトガセの口をパンで塞いで「行ってらっしゃい~、ノエをよろしくね」と俺のことがわかっているかのようにパンを包んだ袋を持たせて、送り出してくれた。シオリは「キサさんも散歩に行くんですか?気をつけて行ってきてくださいね!!」と何度目かのスクランブルエッグをおかわりをしながらも言ってくれるのを背に俺は食堂を出る。  のどかだけれど、それなりに人の多い町。畑に出かけようと歩いている町の人や、朝から商売をしている人。行き交う人の流れを見ながら、ノエが行きそうな場所を考える。  この一年間と少し、ノエと一緒に旅をしていてわかったことはそれなりにある。     
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