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少年のような見た目をしながら自分よりも年上なこと。剣の扱いが上手いこと。筋肉がつかないことを気にしていること。何かと人のお節介をしたくなること。わりと人のことを簡単に信じてしまうこと。お酒を飲むのが好きなこと。星を見るのが、綺麗な景色を見るのが好きなこと。喜ぶとまわりにいる人に抱きつくこと。あまり泣かないこと。そして―――1人で時々ふらふらとどこか誰もいない場所に行くこと。
人気のない町外れの方に向かって俺は歩き出す。
一年と少し。
俺とノエが出会ってからの時間。森の中で蹲ってる俺を手を引っ張ってくれたあの時から一年と少し。
その前までは1人だった俺はノエと出会って、一緒に旅をして、そして今では仲間がいる。仲間がいることは別に良い事だとは思うけれど、でも時々思うのだ。
ノエと2人きりで旅をしていた頃が少し懐かしいって。あの時、俺は旅に全然慣れてなくて、正直ノエに迷惑をかけてばかりだったと思う。野宿の時になかなか火をおこせなくて苛々して八つ当たりをした事だってあるし、お腹がすいた、野宿の時のご飯がまずいとわがままを言った覚えがある。嫌いだって喧嘩した事もある。
でも、今は仲間が増えてノエと話す機会は前より少なくなった。トガセが会話してる時に割って入ったり、シオリが昔の俺のような失敗をしてしまったり、ノエと話す機会がまったく無くなったというわけではないけれど、それでも面と向かって話す機会が失われてしまったような気がする。
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