サマータイム

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 あれから二十年近くの月日が流れて、いつの間にか私は室長と呼ばれるようにまでなった。彼女はどうしているだろうかと思わないこともないが、連絡の手段はない。 時代は変わり、サマータイムなどという制度が会社にも導入された。朝早く来るだけと巷では評判の悪いこの制度だが、業務調整さえうまくできれば夕方早く帰ることができる。  夕方四時半、会社を出た私は駅とは別の方向へ向かう。目的地はあのパンケーキの店だ。店舗の変化の激しいこの街で、あの店はいまだに続いている。  おいしいものを食べて、空と見上げる。あの時以来の私のリフレッシュ方法だ。サマータイムの空は、あの日見上げた空と変わらない。雨が降っていることを除けば、だけれども。  私はまだ頑張っています、空めがけて私は呟いた。どこにいるのかわからない彼女に向けて、伝わるといいなと思いながら。
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