1、落ちた強豪と八人のクズ

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1、落ちた強豪と八人のクズ

 オルゴール調の着信音が静かな部屋の中で響く。彼方は急いで電話に出た。 「はい、浜中彼方です。はい、はい…そうですか。分かりました…。いえ、ありがとうございます」  (……またダメだった) オーディション不合格の通知を貰ったのは、人生で何回目だろうか。 少なくとも片手では足りないくらいには落ちている。 自分に才能がないのか。それとも努力が足りないのか。まだ、見出だせないままである。  「かなちゃん、大丈夫よ。あなたはまだ学生なんだから。まだまだ先があるから」 母、愛理の優しい声にポロポロと涙が溢れる。 (お母さん…私、お母さんみたいになれないよ…)  声も出さずに涙を溢す彼方の背中を擦りながら愛理は 「明日は高校の入学式なんだから。早く寝なさい」 と言った。
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