世界と始まり

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世界と始まり

遥か昔、宇宙も星も何一つない空間。 そんな空間を退屈に思っていた神々は、最高神の一人、オーディンを中心として、この空間に世界を作ることにした。 様々な力を持った神々は、一人ひとりが世界の一部分を担当し、長い年月を得て、世界の創造に成功した。 完成した世界を見た神々は、自らが創り出した世界の美しさに心奪われ、驚愕した。 どこまで続いているかもわからないほど、広々として青く澄み渡った空。その空の蒼を映し出す透き通った鏡のような海。 地平線を新緑に染め上げる木々、そして木々に実る色鮮やかな果実。 神々が産まれたばかりの世界に唖然としている中、オーディンは声高らかに演説した。 「この広大で、美しい世界を我らだけの物にするのは実に惜しい。我らのように自ら考え、自ら動き、そして自らの手でこの世界を生き抜いていける。そのような物を作れば、この世界は賑やかで、更に美しいものとなるだろう。」 オーディンの演説に耳を傾けていた神々は、土を捏ね、自らの化身に似せた人形と、己の姿に似せた人形の2つの種類を作り、命を与えた。     
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