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「メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
そう言ってグラスを合わす。割れないように控えめに。
二人とも仕事が忙しくて遅くなってしまったけど、なんとかイブに一緒にご飯を食べられることになった。良かった。
「全部買ってきたやつでごめんね」
「良いって。俺が偉そうに言える立場じゃないし!」
ケイはグラスの中のワインをぐい、と飲んで言った。良いな、ケイはお酒が強くって。僕は明日のことを考えて控えめにしようと心に決めていた。せっかくのイブだもん、酔って記憶を失くしてしまうのは勿体ない。
「チキン美味いよ。ソウタも食べてみ?」
「うん」
コンビニで買った、骨の無いチキンに齧り付く。油がじゅわっと口の中で弾けた。美味しい。普段から店頭に並んでるチキンでも、こうやって雰囲気で食べればとても美味しく感じる。不思議だ。
「ケーキはショートケーキなんだよね……。ホールで注文すれば良かったかな」
「いや、俺、無理かも。最近胃がもたれるし……」
「あっ、僕も……」
言って、二人で笑った。
いつの間にか二十代後半。そんなにぱくぱく食べられないよね。けど、来年は焼こうかな。ケイに褒めて欲しいからなんて理由があるのは内緒だ。
「思ってたんだけど、何でクリスマスってイブにこうやって御馳走食べるんだろ? 本番は明日なのに」
「さあ……。本番は子供たちが主役だからじゃない?」
「子供たち?」
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