一、

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卒論の締め切りはすでに過ぎていた。桂木は教官に頼み込んで、やっとの思いで締め切りを伸ばしてもらっていた。そのため、少々、焦っていた。焦っていても自分の書きかけの論文にも大いに不満であったし、妥協もしたくなかった。空を見上げながら、独り言がついて出た。 「何かないのかなあ? なぜ日本は早期に和平できなかったのだろうか? 何かあるはずなんだけどなあ?」 そして、意を決したかのように恋人の由美との待ち合わせ場所の喫茶店に急いだ。
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