Who tricked who?

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ちっ、俺とした事が、雄のフェロモンにあてられたのか? いいさ、満月さえ過ぎればそれも弱まるだろう。それに正体を明かし、怯えて混乱したところを狙えばなんとでもなる。 なにより、犬のように懐いているさっきまで多分童貞だったヘタレなこの友人の荒いセックスは存外嫌ではなかった。 今日だけは主導権を渡してやる、そう言おうとしたけれど、身体ごと覆いかぶさってきた牧田の唇がそれを許さなかった。 (はい)ったままの牧田の熱が固さを取り戻すのを感じて、譲は重い筋肉質の身体を押し遣った。 「今夜はお前を上にしといてやるから、後背位(doggy style)で来いよ、得意だろ。間違っても正常位(priest style)なんかするなよ」 聖職者(priest)を連想させるものは体位だって御免だ。口の端を上げて見上げれば、自分の言葉を反芻する男がいた。 「うん?うん……よし、まかせとけ!」 張り切った牧田の影にはパタパタと尻尾が揺れている。     
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