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竜の背。
柊が世界に誇れると繰り返すこのジャンプ台。
雪が積もると芸術作品のような美しい骨組みは半分姿を隠してしまう。
だけど耳を澄ますと、その奥にはまるで水琴窟のように、清水が氷柱を伝って落ちる音が響いている。音までがキンと凍るような寒さ………白い雪景色に聳えるこのジャンプ台で今日も飛ぶ。
平昌は酷く寒いらしい。
ビッグエアーもハーフパイプも昼間だけど、スキーのジャンプ競技やスケート競技は夜に開催される。五輪の大口スポンサー企業の要請で、アメリカのプライムタイムに合わせるのは最早常識となっているそうだけど……体調管理諸々が大変だろうに。そう言った事情も含めて五輪だと柊は言うんだけど……
「学校はその時間ぱぶりっくびゅーいんぐするっちゃ!」
「えー!」
「だって碓氷村の碓氷さんが出るから!俺、学校休もうと思ってたけど、学校のみんなで見られるっちゃ!」
雄星も春には中学生。このシーズンもジュニア選手権で好成績を残した。同級生にもなかなか有望な子がいると親父も言ってたし、竜の背の系譜は続いて行く。
「絶対メダルとって帰って来て」
「うん、頑張ってくる」
「みんなで見とるよ。応援しとるよ」
「うん、そこは任せた」
「優勝したら凱旋パレードっちゃ!」
それはイヤだ。
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