ONE DAY from snowy snowy snow

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  ゆきはお喋りさんだ。『あー』とか『うー』とか『んまんま』とか、起きている間はずっと何か喋り続ける。そして笑う。 「可愛いっちゃー」 「もう、夜も引き取る?」 「それはダメ。俺と柊の愛の営みが」 「んもう☆たいちゃんエッチねー」 そして麓の工房も賑やかだ。昨年11月末に誕生した小椋さんと光さんのご長男、茉寛(まひろ)くんが元気いっぱいに権勢を振るっている。才賀さんはまるで『じーじ』のようにデレデレで、目尻が下がりっぱなし。 「子どもはええモンや。未来が明るなる」 「せっかくだし禁煙したら?」 「茉寛のおるとこでは吸わん」 ゆきは眠る茉寛くんに興味津々ですぐに触ろうとする。赤子を二人抱えていると、本当に自分が父親みたいな心境になる。男の子もすんごい可愛い。でも、ゆきと比べるとずっしり重い。それに寝顔が凛々しい。 「さつきちゃん、体調はどないや」 「なんか食べづわりとか言うやつで、ずっと何か食ってます」 「年子か……また賑やかになんなー」 母は宣言通り、三人目を妊娠中である。夏には生まれてくる。次は男だと確信しているらしい。何にしたって母強しだと思う。
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