ONE DAY from snowy snowy snow

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  碓氷村スノーパークは今、ナショナルチーム向けの貸し切りとなっている。欧米に比べて水分の多い村の雪は平昌を想定した合宿向きで、柊、俺、雄大も本番までトレーニングに励まねばならない。 「村営ホテルもオープン直後から満室で何よりだわ」 「外国人がいっぱいで村じゃないみたい……」 「FlyHighカップの頃にはもっと凄い事になるぞ」 中谷さんと森さんを中心に、三月の第1回FlyHighカップの準備も着々と進んでいる。柊の呼び掛けで世界中の錚々たるメンバーが出場し、エッジの協賛で賞金も国内最大規模となるらしい。 柊は ───── スノーボード界のトップライダーでありながら、経営者としても直向(ひたむ)きだ。夢を叶える為に突き進んでいる。俺はそんな柊を隣で見つめ、支える事が生き甲斐だ。 「俺……ちゃんと柊の役に立ってる?」 「当たり前だろ。タイチが居てくれるから頑張れるんだ。これからも離れないで傍に居て。絶対」 「うん……絶対離れない」 才賀さんからゲフンゲフンと制され、二人の世界は強制終了となった。中谷さんがあちこち飛び回って忙しいから寂しくて羨ましいんだな。 「アホか。俺ぁもう50やぞ」 「年は関係ないでしょう。人間素直が一番ですよ」 「口ばっかり達者になって……」
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