ONE DAY from snowy snowy snow

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  冬季五輪開幕まであと10日あまり。今回で5度目のオリンピック出場となる柊は、スノーボード競技の顔として毎日何かしらのテレビで取り上げられている。リビングも寝室もレコーダーはフル回転だ。 「もう本物が目の前に居るんだからいいだろ……」 「だって!懐かしい映像とかもちょいちょい出て来るから気が抜けん!」 不意に背後から目隠しされ、ベッドに引き倒される。 「俺のこと見て。構って」 拗ねて潤んだ瞳が可愛い。マジで綺麗だ。三十路に入ってますます色っぽくなった気がする。 「いつも穴が空くほど見てる……」 柊の後頭部のハゲは完治しつつある。せっかく伸ばしてくれていた髪はそれに合わせて短くなってしまった。五輪にロン毛で出るのも抵抗があるらしい。俺もビクトリア社との契約上のイメージを損ねないギリギリまでカットされた。毎回、森さんが美容師さんに耳の上と襟足は刈っちゃダメとかトップは何センチとか細かく指示を出す。 「ビジュアル的には俺よりタイチの方が厳しいからなー」 「森さんて歩く契約書みたい……」 「まったくだ」 短くなった髪を梳きながら引き寄せ、ちゅっとキスする。あー可愛い。こんなに可愛くて綺麗な人が腕の中にいるなんてマジ幸せ。生まれて来て良かった。
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