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柊は怖くない?
俺は怖くて仕方ない。
柊がどんどん遠くに行ってしまいそうで……凄く怖い。
「俺も怖いよ」
「ホントに?」
「でもまぁ、森くんの手腕が凄いのはわかってたし、だから東海林さんも紹介してくれたんだし」
「ベンチャーでザカザカ切り拓くって言ってたアレ?てか、森さんて東海林さんの紹介でFlyHighに入ったの?」
「そうよー?ウチのスタッフはみんな紹介で来てくれたけど、まさか東海林さんの後輩のエリート君がこんなにハマってくれるとは思わなかった」
最初会った時、ドレッドでタトゥーの怖そうな人だったのが頼れる兄貴的マネージャーさんとなり、今や会社を支える影のフィクサー。森さんの底知れなさも怖い。
柊ひとりの小さな個人事務所から、村一つ丸ごと抱えた複合企業へ発展して行くFlyHigh。
柊と俺は宣伝役。今季はスキー、スノボともにサイガカスタムを使用する選手が目に見えて増えた。でもそこを蹴散らして一番目立つように飛ぶのが俺達の仕事。
怖がってる暇はない。そして五輪でも柊との師弟対決を実現し、願わくば今度こそ柊よりいい色のメダルを勝ち獲りたい。
「まだ負けんぞー」
「ホントに……手強すぎる……」
「ま、頑張って精進しろや」
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