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冬季オリンピック平昌大会は極寒の、それも夜に開会式を迎えた。
いつも……テレビにかじり付いてワクワクしながら柊の姿を探した。前回ソチの時は雄大もだ。複雑な思いは正直あったけど、それでも『頑張れ』と応援した。
今は二人と同じ日本代表のウェアを着て、一緒に入場出来る。
「太一と一緒にここに居られるなんて夢みたいっちゃ……」
「うん。ホントに夢みたい。てかおまえ明日早速予選なのに鼻水出てる。大丈夫か」
「ピョンチャン寒い……村よりめっちゃ寒い……」
「出なくてもいいって言われたろう」
「だって!太一と入場行進したいっちゃ!」
そんな意地で体調壊したらロジャーが泣く。柊が怒る。それでも、雄大と一緒はやっぱり嬉しい。ちなみに柊は前の方にいる。選手団の中でも目立つ位置だ。きっと今頃テレビでは『スノーボード、五大会連続出場の喜多川選手の姿が見えますねー』とアナウンスされている事だろう。帰国して録画を見るのが楽しみだ。
溢れる音楽と各国の旗に彩られたオリンピックスタジアム。
四年に一度のウィンタースポーツ最大の祭典。
観客席やカメラには笑顔で手を振るようにと言われているが、ちゃんと出来ているのか定かではない。
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