ONE DAY from snowy snowy snow

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  この日、雄大は初出場のスロープスタイルで予選を無事通過した。明日の決勝はみんなで観戦に行ける。嬉しい。 が、会場のコンディションは良好とは言えないらしかった。 「ゴチゴチの氷、アイスバーンにジブが突き刺さってるみたいだった……キッカーはベチャベチャ」 「でも予選通過したのは目出度い。おめでとう」 「やっぱカナダ勢、レヴァインが強いわ。EXTREMESでも勝てんかったし……」 「明日があるだろ。応援行くから頑張れ」 明日の決勝のあと、雄大は一旦村へ戻る。LAWLESSのビッグエアー勢は碓氷村にギリギリまで練習拠点を置く。ハリーは初めての竜の背を心待ちにしているらしい。 「ハーフパイプ……テレビで見とるからな」 「いや、だからおまえは明日の決勝に集中しろって」 雄大はやっぱり肩に腕を回して来て、ひたすら念を送ってくれと言った。『まだ早かろう』と言うと、一晩中でも念を受け取っていたいらしい。デカい図体で甘えん坊なのは相変わらずだ。 「ソチん時……ボロボロで予選落ちしたの思い出しちゃって……五輪の空気ってヤバい」 「うん……」 「今日は選手村に帰ったら、部屋に太一が居てくれるって思うだけでも心強かった」 「うん……」 「明日から一人だけど寂しくない?寝れる?」 「おまえ俺をいくつだと思っとる」
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