第1章 少年と友達

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第1章 少年と友達

1984年、兵庫県K市のとある田舎町。 新谷大輝は新谷家の次男として生まれた。 兄弟は8つ離れた姉、真美と5つ離れた兄、博志がいた。 父親の敏朗は某大手の電気会社に勤め、母親の夏美は料理が好きな普通の主婦だった。 新谷家は大輝が生まれる三年前に大阪の豊中市にある市中団地から兵庫県K市の田舎町にある一軒家に引越してきた。 家は新築で家を建てた時に近所の人からもらった真っ白な雑種犬のシロを飼い始めたそうだ。大輝が物心ついた頃にはシロの体長は1メートル程の大きな犬に育っていたので庭で飼う事にした。 父の敏朗は新谷家の三人兄弟の長男として生まれ、頑固で気難しい性格だった。 母の夏美は藤原家の二人姉妹の長女として生まれたが、母が高校の時に両親が病気で亡くなってしまった。母は高校に通いながら働き、四つ年下の妹と二人で生活を送っていたのだった。 そんな時、隣に住んでいた新谷家には良くしてもらい、その長男であり、同級生である敏朗と結婚をする事を決意したのである。 敏朗は不器用で頑固ではあったが、最も信用出来る人間だったのだ。
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