決意

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 少女を部屋にかくまってから四日目のこと。大佐はいつものように仕事を終え、食べ物を手に、部屋へ戻りました。 「おつかれさま」  少女が大佐の帰りを出迎えます。大佐は彼女に軽くうなずくとソファに勢いよくもたれかかりました。 「いつもこんなに遅くまで、お仕事しているわけじゃないのよね」少女が隣に来て顔を覗き込みます。 「どうかしたのか」 「私のせいで余計な仕事、増やしてるのよね……」  少女はうつむいて、悲しげな表情から、ついには涙を流して泣き出しまいました。 「そんなことはないよ。お前のせいじゃない」  床に泣き崩れる少女の肩を抱いて、頭を撫でます。それでも一向に泣き止む様子はありません。出会ったときからよく泣く女だなとは思っていました。しかし、様子がおかしい。  人を殺していることが少女にバレているのだろうか? 彼女をかくまうために科学者を殺害したことが? いや、それならまだいい。俺に殺されることに感づいていたりするのだろうか?
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