1人が本棚に入れています
本棚に追加
こういう時、一体どうすればいいのだろうか。優しく声をかける?そっぽを向かれたらどうしよう。
いやいや、そんなはずはない。僕と白河さんは、昨年度同じクラスで──だから、堅い絆で結ばれている、のかな?
正直なところ、はっきりと、そうだ、とは言えない。けれど、このような気まずい空気をずっと感じているよりは、話しかけた方が断然ましなような気がする。よし。
僕は喉仏を大きく動かし、固まった唾を飲み込んだ。
「白河さん。久しぶりだね」
できる限り、自然な感じで。
「久し、ぶり」
まずい。一層、変な空気になってしまいそうだ。何か、話題はないか?あ、そうだ。
「ここ、よく来るの?」
絶対聞いてはいけない事だっただろうな。だって、相手も制服だし。これは──こういう場面ってどうすればいいのだろうか。
「何か、些細なことでも、困ったり、嫌なことがあったりしたときはここへ来るの。知らなかったでしょ」
北極星って、こぐま座にあるんだ。でも、北極星でしょ。それを「くま」って──
そのくらい驚いた。あの場違いな質問に難なく答えられるなんて。「人は見た目で判断してはいけない」いつの日か母は言った。それはこのことか。
あれ?いや、ちょっと待って。「困った時」……やっぱりあの質問はしなかった方が良かったんじゃないかな?
今更遅いか。あとの祭りだ。
最初のコメントを投稿しよう!