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子供じみていると言えばさ、僕は皆から可愛いと言われてまうんだよな。 目が大きいのは自分でも認められるけれど、顔は……そんなに小さいかな? 鼻は……知らない。 気づくと僕は、自分の顔を触っていた。誰にも見られていませんように。そっと手を、ズボンの、ハンカチが入っていない方のポケットに入れた。 あと約3分。あの2メートル先にあるマンホールから、号砲とともに霧を晴らす。小股とも大股とも言えない歩幅で、1歩、2歩、3歩。下を見れば、黒い円がある。 僕は肩の力を抜くと、右足を前に出し、体重を前に掛け、左足をずらし、踵を浮かせた。相変わらず僕の心はアップテンポだ。 そして左足の爪先でアスファルトを思いっきり後ろへ蹴った。すぐさま、左足を前に出す。砂が舞う。右足でアスファルトを力強く、蹴る。
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