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走るというのは、右足と左足を交互に動かすこと。意味は通っているのだけれど、これでは歩くと一緒だ。 第1、足だけで進もうとしてはいけない。身体で走らなければ。背筋を伸ばし、腕を振り、足を軽く。 そんなこと、とうに分かっている。 だけれど僕みたいに運動が苦手な人にとって、それを実行するのはどれだけ難しいか。僕の今の走りを周りの人が見たらどう思うのだろうか。考えただけでも、ぞっとする。皆が僕を見て、にたにた笑っているシーンを。 考えすぎかな? うん、考えすぎだ。そういうことにしておこう。あまり負の思考を巡らせてはいけない。悪い考えをしたって何もいいことが起こらない。無意味だ。無意味だ。 それから何分たっただろうか? 目の前に校門があった。いつの間にか着いていたらしい。 重い門をそっと開け、緊張を胸に留め、おそるおそる中へ入った。
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