・これが唯一の手段

18/27
前へ
/164ページ
次へ
自ら宣言した通り、2分と経たないうちに紅葉は教室に戻って来た。 HRが始まる時間は少し過ぎていたが、幸い担任はまだ教室に来ておらず、遅刻とはならずに済んだ。 ガラ、と音を立てて教室に戻った紅葉は、席に座り静かにしているクラスメイト全員から一瞬注目を集めた。 紅葉が自分の席に戻ろうとしていた所を手招きで呼び寄せ、最大限に声を絞って周りに聞こえないよう話す。 「後で詳しく聞かせてよ?」 視界の隅でこくこくと頷いたのが見え、それを視界の真ん中へ持ってくると案の定ーーーー顔を真っ赤にして視線は下へ落ちていた。 恋する乙女は可愛い。 思わずふ、と笑いながら、もう戻っていいよ、と優しく背中を叩いた。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加