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「私がもし振られて玉砕して泣いて顔ぐしゃぐしゃにして帰って来ても絶対笑わないで!!」
至って真面目に私に向かって言う。
そんな言葉に、自然と笑ってしまう。
「ふふっ、何そんな当たり前のこと言ってんの?? 貴女私のこと誰だと思って?」
「私の親友……」
「そうでしょう??まさか紅葉もそこまで馬鹿だったとはねぇ……?」
「私馬鹿じゃないし!!汐音だって人の事言えないくせに!」
「さあどうかね?馬鹿の判断基準なんてどこにあるのか……」
「じゃあ私の事馬鹿呼ばわりした汐音はどうなの?それはこっちのセリフだっての!!」
「あー、ごめんごめん、ウソ。紅葉は馬鹿でも阿呆でもないよ。可愛い可愛い恋に生きる乙女。」
瞬間、紅葉がボッ、と頬を赤く染めた。
これで少しは緊張が解れたかな、なんて私なりの精一杯の応援だ。
紅葉の頭に手を置いて、軽くポンポンと叩いた。
「頑張ってね。待ってるから。いってらっしゃい。」
「う、うん。行ってくる。頑張ってくる!」
私は頭から手をゆるゆると解いて、前だけを向いて駆けていく紅葉を下駄箱に寄り掛かりながら見ていた。
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