・これが唯一の手段

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まだザワザワと煩い昇降口で、私は紅葉のことを待っていた。 この学校は部活がないためか、放課後の昇降口の騒めきはほかの学校とは比べ物にはならない。 生徒数が多いことでより一層。 と言っても、グラウンドや体育館、その他諸々の教室等は先に申告しておけば自由に使える事になっているので、放課後は部活のようにして自分のやりたい活動をする人も多い。 紅葉が告白へ走ってから、約15分。 少し遅いような気もするが、見に行って邪魔をするのも嫌なので、もう少し待つことにする。 すると周りが急に静かになり、束の間の沈黙が訪れた。 と、不意に、 「きゃぁぁぁぁーー??」 周りからは沢山の歓声が聞こえ、何事かと反射的に顔を上げた。 「……………川さん!長谷川さん!」 呼ばれた方を向くと、少しだけ息遣いの荒い男子生徒が立っていた。 それはやや見覚えのある顔で。
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