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本当にいきなり過ぎて何が何だか分からなかった私も、体育館裏に近づくにつれてだんだんと状況が読めていった。
体育館裏からは誰かの泣き声。
そこには、やはり、涙をボロボロと零して蹲り、ひくひくと泣いている紅葉がいた。
「さっきからずっとこうで……」
白柏君が申し訳ないような顔で言う。
私は紅葉のもとへと駆け寄り、しゃがんで紅葉の目線になって紅葉の背中をさすった。
「紅葉?大丈夫?」
「だい…じょ…うぶ……」
私はしばらく背中をさすってあげたあと、なるべく優しく問いかけた。
「ねえ紅葉?白柏くん悪いわけじゃないんだよね?」
「うん……ただ…嬉しくってぇ……」
そう言うと、一度落ち着いた涙がまたぽろぽろと落ちてきた。
やっぱりなぁ……。
「うん、うん、分かったからもう泣かない。ね?」
始めっから紅葉が振られる可能性は無いに等しい事は分かっていた。
まあ、告白でOK貰えて泣くなんて、本当に白柏君のこと好きなんだな…なんて。
とすると、私のすべきことは………っと。
「白柏くん、私鞄取ってくるから紅葉のことみててもらえるかな?白柏くんの分も取ってくるからさ。白柏君って何組だっけ?」
「えっ、あ、10組だけど、でも」
「10組ね、わかった。あ、紅葉のことは心配ないから。ただ泣くほど嬉しかったってだけみたい。じゃ、お願いしますね」
駆け出しながらそう言うと、顔を赤く染めて立ち尽くす白柏くんがいた。
泣くほど嬉しいとか…はぁ…
とか言いながらしゃがみ込む白柏くんは、恋する男子そのもので、少し微笑ましかった。
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