・これが唯一の手段

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私が鞄を取って戻ってくると、紅葉は少し落ち着いていて、普通に会話が出来るくらいには回復していた。 「紅葉~、もう大丈夫?」 私は小走りで近づき、持ってきた鞄を渡した。 「ごめんねぇ、心配かけちゃって…」 「ううん、それよりさ…」 私は紅葉の耳に口を近づけ、聞こえるくらいの小さな声で話す。 「よかったね、紅葉。」 「………っ………うんっ、ありがとうねぇ、汐音ぇ……」 少し涙声の紅葉の声が返ってくる。 どうやらまた泣き出してしまったようだった。 「うん、うん、わかったから!泣くなって言ったでしょ?」 言いながら頭をぽんぽんと優しくたたく。 全くもう泣き虫なんだから、紅葉は。 「じゃあ紅葉、今日は一緒に帰りなよ、白柏君と?」 「えっ、待ってそれは早すぎじゃあ……!?」 紅葉が私の胸を押しのけ、元の体制に戻りながら、びっくりした顔で言う。
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