・君といれたら

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ーーーーキーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン…… やっと午前中の授業が終わった。 ガタガタと席を立つ音がして、皆はあっという間に学食へ行ったり、お弁当を広げたりしている。 私は座ったまま、くー、っと伸びをして、鞄へガサゴソ手を突っ込み、重たい保冷バッグを抜き出す。 その中から茶色い紙袋を取り出して、ラッピングされた袋が中に入っていることを確かめる。 よし、ちゃんと入ってる。 「汐音、ご飯食べよー?」 いつものように紅葉が私の席の方へ来て、そこら辺の机を拝借し、私の机とくっつける。 「ごめん紅葉、私今日これ届けてから行くから、先食べててくれる?一人じゃ寂しいだろうけど、ごめんね」 「あ、そっか。ううん、大丈夫、気にしないで!」 「ごめんねぇ、食後のデザートあるから許して!」 「よっしゃ、期待してる!頑張ってきなよ!」 やっぱり紅葉は優しい。 いい子すぎて泣けそうだ。 「うん、頑張ってくる」 「よし、行ってらっしゃい」 「行ってきます」 私は意気込んで富谷君のクラスへと向かった。
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