・君といれたら

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廊下に出ると、いつものように私の噂が聞こえてくる。 「あ、長谷川さんじゃん!やっぱ美人だよねぇ」 「まさか今日長谷川さん一人?ラッキー!いいとこ見れたわぁ」 四方八方から私の名前。 でも昼休みは大抵の生徒が友達や先輩、後輩と一緒に歩いているせいか、声を掛けられることはまずない。 紅葉を待たせるのもいけないので、なるべく早足で、ツカツカと歩いていく。 「着いた」 昼休みなので、人数は少ないが、教室の中はザワザワとうるさい。 あれ、待って、昼休みってことは富谷君学食に行ってるって可能性もあるんじゃ… それだったら来た意味ないぞ……ちゃんと考えとけよ自分! 「あれ、長谷川さんじゃん!おーい皆!長谷川さんうちのクラスに来てるぞ!」 考え込んで突っ立ってたせいで、誰か知らない男子に見つかってしまったようだ。 「え!うそ!長谷川さん?あの美人さん!?」 これは女子の声だが、 「マジか!長谷川さん!LINEください!」 「え、うっそ、なんでうちのクラスに?」 教室のあちこちからざわめく声が聞こえてくる。 やってしまった。 こっそり呼ぶつもりだったのに。 あっという間に周りに人だかりが出来てしまった。
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