・君といれたら

21/24
前へ
/164ページ
次へ
「それで、どうしたの?」 今私達がいるのは非常階段の前で、人があまり通らない所だ。 「これ、昨日のお礼。あの時気づかなかったんだけど、私倒れたのお昼前で、起きたの夕方だったでしょ?富谷君、結構熟睡してたってことは大分の時間あそこにいたはずだし、ってことはお昼前から夕方まであそこに居てくれたってことで…… とにかく!飴ちゃん数粒じゃ足りない程迷惑かけてたので!これ!どうぞ!」 勢いよく包みを差し出す。 「いや!そんな俺、ただサボってただけだし、男が勝手に自分の寝てるとこで寝てたら迷惑なだけだったろ! しかも倒れてたの見つけたのも偶然だし、だから、こういうの貰う資格無いっていうか、こないだの飴だって勢いで貰っちゃっただけだし、」 「でも運んでくれたのは事実だし、それは優しさだよ? 寝ちゃうくらいってことは、ずっと起きるの待ってたってことだし、倒れたの見つけても他の人だったら通り過ぎちゃうかもしれない。それを運んでくれたのは富谷君だもん。 ということで、これどうぞ。」 富谷君はきょとんとした顔で、私の方を見ている。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加