・君といれたら

22/24
前へ
/164ページ
次へ
しばらくして、片手で顔を覆い、俯いてしまった。 「富谷君?」 どうしたんだろう、何か悩んででもいるのだろうか。 「なあ、本当に貰っていいのか?」 富谷君は目線を下に向けたまま、言葉を発した。 「?うん。貰って?」 「うん、わかった。じゃあ、貰っとく。ありがとう。」 やけに渋った様子で、その包みを受け取る。 その顔には、いつか見たような微笑みが浮かんでいた。 「ふふ、よかった、貰ってくれて。 あ、それ生ものだから早めに食べてね。紙袋にも保冷剤入ってるから家着くまで腐りはしないと思うけど、なるべく早めに。」 「わかった、今のうち食べる、ありがとう」 「いえいえ。じゃあ、またね」 「ああ。………ってそれよりお前、体調、」 心配してくれてたんだ。 「もう全然大丈夫、ごめんなさい、迷惑かけて」 「そういうことじゃなくってなぁ……」 「?」 「まあ、元気ならいいや、じゃあな」 「?うん、また」 富谷君は少し感情が読めない。 とりあえず手を振って、その場を後にした。
/164ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加