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しばらくして、片手で顔を覆い、俯いてしまった。
「富谷君?」
どうしたんだろう、何か悩んででもいるのだろうか。
「なあ、本当に貰っていいのか?」
富谷君は目線を下に向けたまま、言葉を発した。
「?うん。貰って?」
「うん、わかった。じゃあ、貰っとく。ありがとう。」
やけに渋った様子で、その包みを受け取る。
その顔には、いつか見たような微笑みが浮かんでいた。
「ふふ、よかった、貰ってくれて。
あ、それ生ものだから早めに食べてね。紙袋にも保冷剤入ってるから家着くまで腐りはしないと思うけど、なるべく早めに。」
「わかった、今のうち食べる、ありがとう」
「いえいえ。じゃあ、またね」
「ああ。………ってそれよりお前、体調、」
心配してくれてたんだ。
「もう全然大丈夫、ごめんなさい、迷惑かけて」
「そういうことじゃなくってなぁ……」
「?」
「まあ、元気ならいいや、じゃあな」
「?うん、また」
富谷君は少し感情が読めない。
とりあえず手を振って、その場を後にした。
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