第二章・ここからは動けない

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もう40分程歩いた気がする。 少し前までは知った道を歩いていたが、ここまで来ると私も初めて通る道のようだった。 知らない形をした道路、知らない家、店、看板、建物、橋、、、 知らない物ばかりの所を通るのは、不安感と恐怖感、それにワクワクが混じったような気持ちで溢れていて、胸の妙なざわめきが止まらなくなる。 私はこの気持ちになるのが大好きで、よく散歩で冒険に出かける。 そのまましばらく歩いていると、小さな公園が見えてきた。 町の小さな公園なのに、何か惹かれるものを感じて、私はここで休憩することにした。 持ってきたトートバッグに文庫本が入っていたはずだ。 外で読む本はさぞいいものだろう。 私はそんなことを想像しながら、公園の門をくぐった。 入るとそこは緑の綺麗な芝生に覆われていて、いくつかのベンチと常緑樹、それに少し高い丘が造ってあるのがわかった。 小さな公園とは思えないほど綺麗に手入れがされていて、きっとこの町の誰かが、この公園の維持に努めているのだろう。
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