第二章・ここからは動けない

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「ああ、ごめんね、邪魔しちゃって。続けてていいよ」 くそぉ、まだ扉に紐が引っかかっている。 外そうとするがなかなか外れない。 「な、なんでおま、ここにいんの!?」 「散歩してたらたまたまここに着いただけだよ、」 んん、外れない…どうなってんだこれ… 力任せに外そうとして、フェンスをガシャガシャ言わせる。 「おい、そんなことしたら余計食い込むだろ、ちょっとじっとしてろって」 「え、あ、うん」 富谷君はこっちへ駆け寄ってきて扉を開け、器用に紐を外してくれた。 「わ、ありがとう、助かった」 「いや、全然、大丈夫だけど、」 「じゃあ、邪魔してごめんね、続けてていいよ」 トートバッグを肩へと掛け直し、今度こそとベンチの方へ向かう。 「あ、おい!待てって!」 「ん、何?」 「あ、のさ、俺もそっち行っていいか?」 「ん?そっちって?」 「だからっ、一緒にベンチ座ってもいいか!って、こと!」 「んっと、いいけど…」 「ほんとか!?よしっ!」 なんでそんなこと聞いたんだろうか…、それに、最後の「よし」ってどういうこと?
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