・君といれたら

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その日はいつもより遅い登校だった。 特になにかあったわけではなかったが、どうにも体調が悪く、準備するのに手間取ってしまったのだ。 本当のところ学校など休んでしまいたかったが、授業の進みが早いこの学校は、一日休んだだけで一苦労だ。 行けない程の体調ではないはず。 そう自分に言い聞かせ、だるい体をいそいそと動かしながら、ゆっくりと制服に着替え、準備を済ませ、家を出た。 きっと休んだら紅葉も心配するし。 どうしても無理だったら早退してこよう、そう軽く考えた。 「汐音、大丈夫?今日遅れてきたでしょ?体調悪い?」 あー、休まなくても心配させていたようだった。遅刻しただけでこれか。まぁでも、心配してくれるっていうのはなかなか嬉しい。 「ん、まあちょっとだけね。そんな無理しなきゃ大丈夫だって。」 「そう?汐音すぐ無理するんだから。具合悪かったら言うんだよ?」 「ん、ありがと。」 本当は紅葉に心配させたくはなかった。せっかく幸せに日々を送っているところなのに、それを私が邪魔する権利はない。 「あ、そういや次の授業、先生に早く来るよう言われてたんだった!ごめん汐音、先行ってるね!次移動教室だから!歩くの辛かったらゆっくりでいいから!先生に言っとく!」 「わかった、ありがとね。気をつけて!」 紅葉がニコっと笑いながら手を振って返事し、急いで駆けていく。 まったく、どこまでも心配症なんだから。 とは言っても結構辛くなってきた。 やっぱり学校という人の沢山いるところというのは疲れるもので、体調の悪い時なら尚更だ。 次一時間だけは受けることに決め、その後は様子をみることにした。
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