紙飛行機プラネタリウム

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「……やっぱ、わかんない」 「うん、おれもわかんない。でも、夢だから」 「ひこうきに、のるのが?」 「ひこうきじゃなくて、ふねだよ」 「ふねは空とべないでしょ」 「とべるんだよ」  ますます少年の言っていることが理解できなくなった少女は今までよりもその気持ちを顔を表した。  少年はその様子に「ブサイク」と笑った。実際に可愛い表情ではなかったが。  少女は無言でいたが、おもむろに少年の名を呼んだ。「なに」と少女の方へ顔を向けた少年の額に向けて少女はデコピンを打った。  「いったぁ」と不意打ちのデコピンに苦しんでいる少年のことを気にしていないように少女は歩く。その事実までもスルーだ。 「大体、ゆみにも夢あるでしょ」 「さあね」 「夢、教えてよ」  2歩ほど後ろを歩く少年に少女は立ち止まってパッと振り返る。少年はびっくりして、その足にブレーキを咄嗟に入れた為、バランスを少し崩した。しかし、すぐに気を取り直し、こちらをじっと見る少女を見つめ返す。  夢を教えてくれるのか。  少し期待した少年に、 「イヤ」  少女はきっぱりそう言い放った。 「……え」  予想外の答えに少年は一瞬固まる。その隙に少女は前へと向き直る。  「ちょ、ちょっと待ってよ」と動揺した少年の声に少女は「……何」とあまりご機嫌ではなさそうな声で答えた。 「何、なんで教えてくれないのさ」 「……。……空には夢がつまってるんだよね?」 「……え、うん」 「じゃあ、あそこにゆみの夢がある」  そう言いつつ、少女は空に向けて指を指す。 「自分で見てきなよ」  少年はその言葉に驚きを隠せない。少女がそんな事を言うのが、よほど意外だったみたいだ。 「まあ」と少女は言葉を続ける。 「そんなこと、できたら、だけど」  さっきまでの真剣な顔とは打って変わって、少年を挑発するように見下しがちに笑った。  少年はさきほどと同じように驚いたようだったが、すぐに真っすぐと少女を見据えて、笑った。 「お前の分も取ってくるよ!」  宣誓布告のようなものだった。その宣誓布告まがいを少年と少女は知らず知らずに交わした。
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