第1話 Prologue 目撃

3/7
前へ
/98ページ
次へ
 北棟には特別教室が集まっており、昼休みでもひとけはあまりない。二階には音楽室があって、吹奏楽部の連中が集まっていることもあるものの、一階には特にクラブ活動で使われている教室もなく、用があってわざわざ来るような生徒はまずいない。  音楽室とは反対側の廊下の端にある地学教室は、まったくもって静かなものだった。そもそも選択制の地学の授業を取る人は圧倒的に少なく、授業で地学教室が使われることもまれなくらいなのだ。古い地形図や、表面の剥げた大きな地球儀が無造作に置かれて、半ば物置のようになっているようだった。  俺にとってはたいへん好都合だった。誰も来ないし、ごちゃごちゃといろんなものが置かれているから、机の陰に座ってしまえば入り口からのぞき込まれても見つかることはないだろう。  机は通常の教室にあるような一人用のものではなく、片側に二人ずつ並んで合計四人座ることのできる、幅も長さも大きい長いタイプのものだ。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加