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すれ違いざま、骨細工師は疑問を浮かべる俺に、薄笑いで答えた。
「言ったろう。儂は骨細工師じゃと。吾が主からは神気に満ちた良い素材が賜れる」
『食べ残しに宿る神気? 浅ましい。ずいぶん無防備に見えるけど、あいつにとってはあんたも例外じゃないんでしょ?』
骨細工師は枯葉を擦るような笑いを漏らしながら、ローブの袷を開いて見せた。
「いや。儂はとうの昔に全てを捧げたからな」
ローブの奥に見えるのは、肉も内臓もない骨ばかり。
いかな貪欲な神でも、気まぐれにでも喰らう気も起きないということか。
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