目安箱編

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「早く終わらせる為には、俺は何すればいーい?」 「また課題出されたんだ?」 「そう。だから今日のお手伝いは?」 「………そうだねー。」 僕らにはそんな事情が風景の一つでしかない。 そっと縋るような眼差しを送ってくる、同じ人種の短い髪をそっと撫ぜた。すると、度合いがよかったのか僕の采配が間違っていなかったのか、緩く瞳を細めていた。そう、これを見るのが僕の非日常で、安心するのだ。 彼がここにいる。 僕もここにいるのだと。 日陰に一人引き込まれるのではなくて、彼もまた一緒に隣に居るのだと。 どんなに奇怪なことであれ、どんな奇異であれ僕らは隣にいるんだって。 目安箱編 完
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