マキノ

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 春になって、晴れの日が続いている。朝の青空は薄くて甘い色。  ばばばばば。  新聞紙で包んだネギを後ろにくくりつけた、スクーターのおじちゃんが、わたしたちには見向きもしないで走っていった。  そろそろ行かなくちゃ。  猛犬太郎が、ソワソワし始めている。  おなかが減ったみたい。うちに帰って、ごはんを出してやらなくては。  「今日も学校来る」  「行くよ、ダーリンに会いに」  ふーん、愛は強いねー。  そう言ったら、ぺちゃんと叩かれた。 **  「キミサキさん、よくあの子と一緒にいられるよねー」  一度、クラスの女子から取り囲まれて、尋問されたことがあった。  わたしもマキノほどではないけれど、変わり種だから、つるんでいる女子はいない。  一匹狼は時々、面倒な目にあう。  「別にー。近所だし犬好き同士だから、喋ってるだけだよ」  何を言われても、それで押し通した。  クラスの女子たちは、面倒。なんでもかんでも一緒にやりたがって、違うものを見つけてはやり玉にあげる。  それに、わたしのことだって、母子家庭の子だからと色々言っているんだろうな。  煩くて面倒くさい女の子たちよりも、わたしはマキノのほうが良かった。     
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