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残りもの
うちは中古の一戸建てだ。
ママが働いたお金で買った。
ほんとは犬なんか飼う余裕はないのだけど、世話はわたしがするという誓約書を書いたら承諾してくれた。
「犬はご飯食べるだけじゃないんだよ。うんこもするし、散歩もしたいし、注射しなくちゃいけないし、病気になったら医者に連れて行かなくちゃならないんだよ。わかってんだろうね、アンタ」
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公園で捨てられていた猛犬太郎は、雪が降る中で、段ボールの中できゅうきゅう泣いていた。
たしかあの時は、ママからサラダ油を買って来てと頼まれて、近所のドラッグストアまで買い物に行った帰りだった。傘をさして公園を通りかかった時、子供たちがたかっていたので、ちょっと足を止めた。
段ボールの中には何匹か仔犬が入っていて、コートを着た子供たちが、バーゲンセールの戦いみたいに好きな犬を奪い合って、勝ち取った仔犬を大事に抱っこして、持ち帰ろうとしているのだった。
「ママ許してくれるかなー」
「大丈夫、こんなにかわいーもん」
言い合っている子たちをぼんやりと見送ってから、何となく公園に足を踏み入れた。
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