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それでも、マキノにはどこか芯があって、その芯は誰かに大事にされている子特有の甘い匂いがした。
ちょうどそれは、同じクラスの、遅くに生まれた一人っ子で、両親から溺愛されているというユリちゃんと似たような雰囲気だった。
マキノには、ユリちゃんみたいな可愛いペンケースや、毎日きちんとアイロンがけされているハンカチなんか、ないのだけど。
(わたしまでいなくなったら、あんた一人になるじゃん)
つうんと唇を尖らせて、山上君を好きにならないでと宣戦布告みたいに言い放ったマキノ。
わたしはその眼を見て、山上君にはこれっぽっちも興味もないし、むしろ今は猛犬太郎が道で変なものを拾い食いしないかのほうが気になるから、この件については安心するようにと、一言一言区切りながら言ったのだった。
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