マキノ

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マキノ

 そんなことがあってから、マキノは普通に接してくれるようになった。  学校には、今のところ毎日来ている。最も、昼前にはどこかに消えてしまうのだけど。  山上君がわたしのことを好きだというマキノの言葉が、どこまで本当だか分からない。  だから極力気にしないようにしていた。  隣の席の秀才君は、相変わらず物静かで、毎日、給食を鳥のように食べている。  **  早朝、わたしは猛犬太郎を散歩するついでに、マキノのアパートの前まで行く。  マキノも分かっていて、時間を見て二階の部屋から顔を出し、犬の姿を見るとにいっと歯を見せるのだった。  マキノはサンダル履きで外に飛び出してきて、あいさつ代わりに犬の体を撫でまわす。  「ごはん食べた」  「食べない」  短いやり取り。  わたしは、自分で作ったサンドイッチを手渡す。  マキノは嬉しそうに広告紙をむいて、耳のついたままのサンドを食べる。  給食すら真面目に食べないマキノが、豪快にパンをほおばる。その顔が、すごくイケてると思う。  (売れないロックバンドのシンガーが、ごはんにありついた時みたい)  「キミちゃん料理うまいね」  「そんなことない」  チーズとレタスをはさんだだけ。     
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