第1章 2550年

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「能力開発すなわち、自分の能力を理解し、より大きく解放することは自己覚知を行うことがベースとなっている。 自己覚知(じこかくち)とは、自分のことをよく知り理解するということである。 他のものと比べ嘆いたり、無いものを掴もうとするのではなく本来持っている自分の特性、または能力を活かし更に最大限活かすよう心掛けることが必要である。 則ち《すなわち》、自分の性格を知り自分の特性を理解することが能力開発の第一歩ともいえよう」 ヤバい… 私、人と比較ばかりしてた。 可憐やクラスメイトと自分を比較して 自分のコレは出来てないとか、アレは駄目だとか…。自分の持ってる力なんて全然見てなかった…。 私だから出来ること… そう思うと居ても立っても居られなくて、 いつもは力が暴発しちゃいけないからって、 家の中や庭では絶対練習しないけれど、 試してみたくなってリビングでまずは、ソフトボールを浮かしてみようと思った。 これなら万が一 力が暴発して部屋のどこかへ飛んでぶつかっても 大きな被害が出ないだろう。 今までは出来ない、 自分なんか…と思って 自分のチカラに関して疑心暗鬼になってたから、 先ずはそこから変えようと思った。 「私は絶対出来る。絶対浮かしてみせる。」 そう心で念じるだけで不思議とチカラが湧いてくる。 大丈夫、今まで散々自主練してきたんだから。 絶対大丈夫。 そう心で念じて 目を閉じ力を(てのひら)に集中させる。 伸ばした掌をボールに当てて 今だっ、と目を開け今までの練習の成果を試すようにグッと力を前に入れた。 ふわっ… 今までにはない力がボールに働き、 ボールは頭上10センチ、つまりテーブルからは40センチほど浮いていた。 「あぁあー!!!出来たー!!!」 思わず叫んだそのとき ドオォンッと地響きと共にけたゝましく何かが壊れる音がした。
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