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「開成っ」
誰かに呼ばれた気がして、後ろを振り返る。
透悧くん…
私の後ろを透悧くんも箒にまたがり追いかけてくれてたらしい。
「お前っ、1人でどこ向かってんだよ!!!」
グイッと手を引っ張られる。
「っお父さんと、妹が司令塔に居るかもしれないからっっっ」
そういうと、
「アホか!!お前解ってんのか!!!!相手はどんな奴かワカンねぇんだぞ!!お前1人だけで行くなんて自殺行為だ!!」
ハッとした。
その通りだ…相手がどんな奴かも解っていない。
「…お前の気持ちも解るが、ここは冷静になれ…」
頭をガンだと殴られたみたいだった。
「そうだよっ、3人集まれば文殊の知恵とか言うじゃんっ」
横から可憐もで出来た。
「可憐っ」
「お前またそういう古い言葉いう…」
透悧くんがなぜか可憐を宥めている。
「なによぉ、3人集まれば、
1人じゃ出てこない智慧も出てくるかもしれないでしょー」
可憐がプゥっと頬っぺたを膨らましていた。
その様子をみてもしかして…
目立ってしまってはいけないので、
一旦空を飛ぶのを止めて物陰に隠れながら
「え…もしかして、2人付き合ってたりするの?」
思わず聞いてしまう。
「ば、馬鹿ちげぇよ!!」
透悧くんは顔を真っ赤にして否定した。
「そう…モゴモゴ」
隣に居た可憐も何か喋ろうとするが、なぜか
透悧くんが可憐の口を押さえている。
そっか…やっぱり2人は…
だけど2人お似合いだもんな。
どこか胸はチクリと痛んだけど、
今はそれどころじゃない。
私は透悧くんと、可憐と3人で作戦会議を立てることにした。
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