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「とにかく相手が何者かわからない以上、
いくつかの線を立てる必要があるな」
透悧くんが話し始めた。
いつも行き帰りに使っている特殊メガネの淵についてる小さなボタンを押すとモニターが出てくる。
会話したことを録音して文字化してくれる機能だ。
きょうび誰に襲われるか分かったもんではないので防犯グッズの一環として取り付けられた。
「そうね、今回について考えられる線は3つあるわ。一つ目は今のシステムや組織に不満を持ってる反勢力の反抗。
もう一つは、考えにくいことだけどAIが意思を持って反乱を起こしたか
もう一つは機材トラブルと見せかけたイタズラ…ってとこかしら」
可憐が淡々と分析する力が凄まじく、息を巻いてしまう。
「俺は、3つ目の線は考えにくいと思う。イタズラにしては規模が大きいし見つかったときのリスクも高すぎる。」
たしかに透悧くんの言うとおり、
公務妨害として見つかった際の罰金は多大な額になるだろう。
だとしたら…
「だとしたら、私はAIの反乱だと思う。」
可憐と透悧くんが同時にこちらを向く。
「どうして、愛梨はそう思うの?」
「前にね…お父さんが言ってたの。
もうすぐAIは人の知能を超える日が来るかもしれないって。今までのAIはそれこそ、人工知能として情報の蓄積だったりとか、分析に長けている感じだったけどそのうちAIも感情を持つようになるだろうって。そしたら…」
「そしたら…」
2人は言葉の続きを待っているようだ。
「そしたら、今度は人がAIに支配される可能性が出てくる…って言ってた。」
可憐が不安そうに
『AIに支配されるって、それってつまり・・』
「うん、システムそのものがダウンするか、
或いはAIやロボットが意思を持って私たちに攻撃を仕掛けてくるかどちらかだと思う」
二人は言葉を失っていた。
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