第1話:街角を曲がるとそこは異世界だったの

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「稲刈りはいつかな?」  さすがに詳しくないからわかんないや。でも、稲穂は出ているから、9月に入ったら、もう刈り取っちゃうのかな? あとでおじいちゃんに聞いてみよう。  町の商店街に入って、まずはお豆腐屋さんに向かう。油揚げを買ったら、お店のお兄さんがサービスだと言って豆乳をくれた。  ふふん。美少女はお得ね。  で、3軒隣りのコンビニに入り、指定されたおにぎりを購入し、じっくりと買って帰るおやつを吟味する。このお買い物において、重要なミッションよ。  このコンビニ、店舗が広いせいか駄菓子とか色々と置いてあって選ぶのに苦労しちゃう。お店の客層がお年寄りも多いせいかもしれないけど、渋いお菓子類も結構あるのよね。きな粉棒とか、東京じゃ駄菓子専門店にでも行かないと買えないのに、ここじゃ普通に買えちゃう。  なかなかいいじゃない。  で、あたしは気になった駄菓子をいくつか買ってお店を出た。  これでミッション完了!  あーっと、完了じゃない。家に帰るまでがミッションだったわ。  まぁ、まっすぐ家に帰ってもつまんないし、ある程度、この商店街の中を知っておかないとこれから大変じゃない? だから、ちょっとだけ探険してみることにした。  探険って言ったって、ちっちゃい商店街だから、すぐに全部回れちゃうんだけどね。  ちょっと大人っぽい渋いカフェ。八百屋さん、魚屋さん、お肉屋さんと、スーパーに行かなくてもここで買物は全部済ませられそうな感じではある。クリーニング屋さんも本屋さんも、ラーメン屋さんもある。  だいたいはここで事足りそうかな?  欲しい本とかあったら、今どきはお父さんに頼めば、ネットショップで買ってくれるしね。 「さて、探険も済ませたし、家に帰りますか」  そう宣言したあたしの目の前を、一匹の三毛猫さんが悠々と横切っていった。
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