第1話:街角を曲がるとそこは異世界だったの

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 田舎だけあって、猫さんもノンビリしているのかな?  三毛さんは、あたしのことなんか眼中にない様子で、お店とお店の間の路地に姿を消していった。  ほほぅ……  ここに探険の余地のある猫道がありましたか。  あたしは新しい発見があることを期待して、三毛さんの後をつけることにした。  猫さんの道案内で新しい場所を発見なんて、ちょっとステキじゃないですか!  猫道って結構細いところを無理矢理通る感じがあるけど、この三毛さんは親切なのか、通りやすいまっすぐな道を辿ってくれていた。と言っても、幅が1メートルくらいの薄暗い路地なんだけどね。  やがて先に明るい場所が見えて、ゴールが近づいてくるのがわかった。さて、どこに通じているんだろう? と、ワクワクドキドキしながらその光の中にあたしは飛び込んだ。 すると……目の前に広がっていたのは、やたらと活気づいていて、やたらとレトロな雰囲気の建物が建ち並ぶ商店街。いったいいつの時代なのかわからないけど、とにかく古い印象しかあたしは受けないから、たぶん、昭和とかその辺の建物なんじゃないかな? なんて思う。たぶん。  問題はそれだけじゃないんですよ!  やたらと活気づいているってさっき言ったよね?  そう、さっきまでいた表通りの商店街みたいに、なんだか寂しい雰囲気ってヤツがここには漂ってない。街路は行き交うヒトであふれてる。  ヒト……?  ヒトって言っていいのかな?  察しのいい人はもう理解したと思うけど、町を行き交うヒトたちは、みんな直立二足歩行する動物たちだった。
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