314人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ
「自然派ワインを良く知らないヤツが、
“澱がある”ってバカみたいに騒ぐだろ、」
咲の事を何も知らない奴からバカにされたり、嫌な思いをしたのか、
昔の俺みたいだ、と一ノ瀬は苦笑いした
「舌触りが良くないからグラスには注がないようにしているだけで、澱があるのは何も問題ないのにな。
フェルタリングが多くなってるが、俺は渋みのある熟成されたワインは好きだ。
――そんな奴等は気にするな、」
咲に向かって微笑んだ
「―うん、、」
そのままでいい。と
理解してくれたようで咲は嬉しくなった
『ありがとう』と言いたいのに、真剣に考えてくれている彼に、急に恥ずかしくなった
――なに話してんだろ、俺、
「咲、“ワインの涙”は見たことあるか?」
「え、いいや、聞いたことはあるけど
実際に見たことは、、」
「無いのか、修行が足りねーな(笑)」
「うっ…、何だよ偉そうに、」
この場をつなぐ明るい口調
相手の気持ちを上手く読み取る、
咲は、口下手な性格だからか、彼の会話に驚かされていた
最初のコメントを投稿しよう!