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一ノ瀬は咲の手首を掴むと、その手にパッと
スマホを置いた
「―やっぱり、やめた、」
「へっ?」
「『見ちゃダメ☆』って言われるのが、
唆られるんだよね、
あっ、来たかな、」
駐車場に1台の車が入って来て、一度止まった
「唆られるって…、おぃ、」
勇気を振り絞り、写真を見せようとしたのに
サクッと断ち切られたような…
俺の気持ちは――
「お土産サンキューな、
菅さんにもよろしくって伝えて、」
「あ?あぁ、うん、いやっ…、」
こんな、スッキリ、あっさり帰るのか!?
いや、写真そのものは、まだ見てないから
こんな去り際なのか?
「お店で待ってるよ、またな。」
片方の手を上げて、一言そう言うと
お迎えの車に駆け寄り助手席に乗りこんだ
運転手の大柄な男性が何か喋ったが、
咲には良く聞こえてなかった
ジャリジャリと音を立て
一ノ瀬の乗った車が走り去って行く
「――――は?」
咲はその場に立ったまま、しばらく呆然としていた
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