番外編Ⅵ

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一ノ瀬は咲の手首を掴むと、その手にパッと スマホを置いた 「―やっぱり、やめた、」 「へっ?」 「『見ちゃダメ☆』って言われるのが、 (そそ)られるんだよね、 あっ、来たかな、」 駐車場に1台の車が入って来て、一度止まった 「唆られるって…、おぃ、」 勇気を振り絞り、写真を見せようとしたのに サクッと断ち切られたような… 俺の気持ちは―― 「お土産サンキューな、 菅さんにもよろしくって伝えて、」 「あ?あぁ、うん、いやっ…、」 こんな、スッキリ、あっさり帰るのか!? いや、写真そのものは、まだ見てないから こんな去り際なのか? 「お店で待ってるよ、またな。」 片方の手を上げて、一言そう言うと お迎えの車に駆け寄り助手席に乗りこんだ 運転手の大柄な男性が何か喋ったが、 咲には良く聞こえてなかった ジャリジャリと音を立て 一ノ瀬の乗った車が走り去って行く 「――――は?」 咲はその場に立ったまま、しばらく呆然としていた
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