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コポコポとヤカンの中で沸騰し始めた音がしてきたところで
「巳耶、」と、一ノ瀬が呼ぶ
「何?」
「珈琲、淹れてくれる?」
新しくペーパーフィルターを折りながら、
さっきまでと違う柔らかい口調で巳耶に話しかける
急にそういう…
「自分で淹れればいーじゃないの、」
戸惑う巳耶に変わり、絢香が言った
「巳耶が淹れてくれたの飲みたいの、」
―そういう嬉しくなる事を抜け抜けと…
しかも何事も無かったように笑顔で、本当に
この男はっ―…
「誰でもいいが、珈琲終わってるぞ、
絢香が買ってくるまで、仕込み手伝え。」
尾上がそう伝えると
早く言ってよ と、文句を言いながら
一ノ瀬は尾上と一緒に調理場へ向かっていった
「じゃー、買い物行くかー、
よくわからない男ね、
巳耶ちゃんも行く?――巳耶ちゃん?」
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