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俺たちはぞろぞろと連なって歩き、案内されるがまま、ある部屋へと入っていった。
さっきの部屋よりも、少しばかり空気が冷たい気がした。しかしそう感じたのは一瞬のことで、部屋の真ん中に台車が運び込まれると、むわっとした熱気が漂い、なんとも言えない匂いが鼻を掠めた。
俺たちは言われるまでもなく、台車をぐるりと囲む。説明を聞く最中、タケルがなんとか台車を覗き込もうと背伸びをしたが、やがて諦めてきょときょと辺りを見回し始めた。そのまま歩きだそうとしたので、慌てて手を引っ張る。
その様子を見た親族の一人が、ひょいとタケルを抱き抱えた。
「ちびっ子には難しい話やわなぁ」
「おれ、チビやないよ。おれ、真ん中やもん」
「はは、そうかぁ。ほら、見てみぃ?」
オジサンがタケルを台車に近づけた。タケルは目を真ん丸にして「なに? これ」とこぼした。
「おばあちゃんの骨やよ」
「ほね?」
「そうや。えらい小さなってしもて」
「なんで? おばあちゃん、どこ行ったん?」
「燃えて煙になって、お空に行ったんよ」
「お空……」
タケルはそう言うと、制服のポケットをぎゅっと握った。
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