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大人たちは皆順々に、骨を骨壷に入れていった。母がハンカチで目を抑えながら骨を収めると、俺にも箸を渡してきた。
摘むとホロホロと崩れ落ちそうなそれを、俺は慎重に運んだ。小さくて細い骨。数時間前まで祖母の体の中にあったとは到底思えないくらい、それらは脆く、無機質だった。
骨壷に入れると、骨と骨がぶつかって、カサリと音を立てた。その意外な音が、いつまでも胸に響く。
次は父の番だ。父は憔悴した顔で骨を骨壷に入れた。そんな父の背中を母が撫でる。
「タケル」
父は、タケルを名指しした。当の本人はオジサンに抱かれたままきょとんとしていた。
「お前の番や」
「おれもやっていいん?」
タケルはパッと目を輝かせると、父から箸を受け取った。
「どれ取ればいいん?」
「喉の方を取り」
「のどってどこかわからん」
「あそこら辺やぁ」
オジサンに言われるがまま、タケルが手を伸ばす。普段使っている子供用の箸より随分長いそれを、タケルが使いこなせるかわからずヒヤヒヤした。
途中で骨を落っことすのではないかと思ったが、タケルは器用に箸を使って、また周囲を沸かせた。
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